
以前から上場廃止が囁かれていたパイオニアですが、先日の臨時株主総会で、香港ファンドの出資の承認が出ました。
これにより、パイオニアが上場廃止になる日はそう遠くない未来となってしまいました。
パイオニアと言えば、オーディオであったりプラズマテレビであったり、カーナビであったりと、エレクトロニクス分野で存在感のある日本の名門企業でした。
そこからの没落ですから、はっきり言って経営ミスですね。
進化の反対は停滞。
他の企業も他人事ではありませんね。
さて、今回の記事では、パイオニアの業績悪化の解説とそこから見えてくる製造業の未来を考察していきたいと思います。
パイオニアの業績悪化をざっくり説明
ニュースや新聞を見ていない人、見ても分からない人向けに、今回のパイオニアの業績悪化をざっくり説明していきたいと思います。
えっとですね、簡単にまとめると、
①どこかの自動車メーカー用に新型のカーナビの受託開発をしていた。
②自動車メーカー「お前らの技術古いから、やっぱ使わないわ~」と言い出す。
③パイオニア「いやいや、ふざけんな!最新の技術を開発するからちょっと待ってろ!」
④パイオニア「ソフトウェアにフルレバ投資だ!!!!」
⑤パイオニア「あ、キャッシュフロー悪化したった・・・。しかも開発間に合わない・・・。」
⑥パイオニア「しかも主力のカーナビとかカーオーディオ売れないイイイィィ!!!!!」
⑦世のドライバーたち「Google MAP便利過ぎイイイイィィィ!!!」「しかもiPhoneで音楽聞けるからオーディオなんて要らんわ!!!!」
こんな感じです。(※ざっくり説明しているため、一部事実とは異なる点がございます。)
マクロに見ると、「スマホ普及という向かい風」で、ミクロに見ると「OEM事業での開発費増加」が原因です。
自動車メーカーの手のひら返しがあったようですが、それに伴う追加の開発費は援助してもらえなかったみたいですね。
コネクテッドカー(カーナビとスマホを連携させて、インターネットと常に繋がっている自動車)の生産を余儀なくされた自動車メーカーに、パイオニアは付いていけませんでした。
やはり自動車メーカーも、業界に向かい風が吹いている以上、同じく向かい風が吹いている分野にはお金を出さなかったということでしょう。
業界が追い風か、向かい風か
パイオニアの主力製品の歴史を辿ると、常に「技術革新」という向かい風に立ち向かってきました。
まず、オーディオ機器。
これは、ウォークマンやiPodの登場によって、市場から駆逐されてしまいました。
そして、プラズマテレビ。
これも、液晶テレビの生産技術が発展し、安価に安定供給出来るようになったことで、またもや市場から駆逐されてしまいました。
そして、カーオーディオとカーナビ。
スマホの高性能化によって、その役割が取って代わられることとなりました。
ここから得られる学びとは、「業界が追い風なのか向かい風なのかどうか」を常に意識して、ビジネスをすることです。
例えば、今明らかに向かい風なのは、このブログで何度も警鐘を鳴らしている(⇒参照記事「地方銀行の今後はリストララッシュが間違いなく起きる?」)「銀行業界」です。
また、製薬業界も新薬の特許期間の終了ラッシュが来ますので、向かい風だと思います。
自動車メーカーも、EV(=電気自動車)の発展により、構造改革が迫られています。自動運転の登場により、半導体メーカーが参入してきますし、運転しない分、内装が重要になってきて、ホテルやインテリアメーカーが参入するようになります。向かい風の業界は、必ずリストラが起きます。大人数を抱えて、いきなり事業の方向転換をするのは難しいからです。会社を軽くしないと、急には曲がれないからです。
日本の自動車メーカーも、今後リストラのニュースが流れてくることと思います。
カーナビ業界は苦しく、アルパインはアルプス電気と統合しました。日立製作所の子会社クラリオンは、リストラを実施。富士通のカーナビ部門はデンソーに売却してしまいました。
就活生や、転職を考えている方、値上がり期待で株を長期保有したい方などは、まずこういった「風向き」を考えるべきでしょう。
「向かい風の業界は大変」ということです。
「大手企業=オワコン」という脱社畜論がはびこっていますが、それよりかは「どの業界でビジネスをするか」ということが大事だと思います。
大手企業で働くもよし、起業するのもよし。
但し、共通して言えるのは、「向かい風業界では働きにくいよ」ということです。
おわりに
パイオニアは、アジア系投資ファンド「ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア」(BPEA)の出資を受けて、完全子会社となる流れです。
外資系企業になって、今後は車載向けのハイテク分野に邁進するようです。東芝に続き、またもや日本企業の存在感が失われてしまうのは寂しいですよね。
他の日本企業も、他人事ではありません。
自分たちがやっている業態は、他の業界や企業によって制圧されてしまわないか、常に警戒しておく必要があります。
あなたの業界の「風向き」は、追い風ですか?
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