
化学メーカーをランキング形式で紹介している就職活動のサイトが多いですが、働いている身からすると、
「化学メーカーのランキング付けって無理だよなあ」と思っています。
確かに、ホワイト企業と言われることの多い企業が集まるホワイト業界と言えなくもないですが、人によっては息苦しい業界とも言えると思います。
年齢層が高いですし、非効率を極めている割に、数字にだけは敏感な人が多い。
そういう意味ではブラックかもしれません。笑
売上高や年収、利益率や将来性という観点でランキングを付けられなくもないですが、ある一定のレベルを超えてしまうとどうしても主観になってしまいます。
なぜなら、各企業やっていることが違うので比較をすることが難しいからなんですね。
今回は、色んな視点から化学メーカーを見ていきたいと思います。
ちなみに事務系総合職が対象です。理系はまた別の記事で書いていきます。
売上高(2017年3月期)での比較
- 3.3兆円:三菱ケミカルホールディングス
- 2.3兆円:富士フイルムホールディングス
- 1.9兆円:住友化学
- 1.8兆円:旭化成
- 1.4兆円:花王
- 1.2兆円:信越化学
- 1.2兆円:三井化学
- 1兆円:積水化学
- 8503億円:資生堂
- 7677億円:日東電工
- 7514億円:DIC
- 7430億円:東ソー
- 7109億円:ユニ・チャーム
- 6711億円:昭和電工
- 6705億円:エア・ウォーター 引用:http://www.ullet.com/search/group/7.html
上記ランキングは「繊維」は除いています。売上高2兆円の東レなどは含まれていません。
1位は三菱ケミカルホールディングスですが、実態としては①三菱化学②三菱レイヨン③三菱樹脂の3社が統合し、三菱ケミカル(株)という会社が中心のホールディングスグループになります。他には田辺三菱製薬や大陽日酸がグループ企業の一員です。つまり、寄せ集めの組織。
三菱化学は石油石化事業という大規模なプラント事業を展開していましたが、収益性としては悪く、三菱レイヨンと三菱樹脂の方が規模こそ小さいものの利益を稼いでいました。
従って、「三菱化学のエリート」という過去の印象は薄く、現在は「三菱レイヨンと三菱樹脂と対等」といった感じになってきています。
2位以下の会社もそうですが、売上高こそ大きいものの、各企業の細かい事業の集まりといった感じなのが化学メーカーの特徴です。
大手企業同士では実は扱っている化学製品はあまり重複しておらず、各企業特徴があります。
例えば、農薬関係で有名なのは住友化学。
炭素繊維では東レや帝人が有名。
半導体のウエハーでいえば信越化学が世界最強の会社となっていますし、
MMA(アクリル)では三菱レイヨン(現・三菱ケミカル)がトップです。
こんな感じで、売上高が似たような会社でも、やっていることや扱っている製品は大きく異なります。
パナソニックと東芝が「炊飯器」を売っているように、製品のジャンルが重複しているわけではないのが特徴です。
花王や資生堂は化粧品や日用品という業界でも括られます。
ですから、比較するには「売上高」や「離職率」などある項目に限定して考えなければなりません。
「就職難易度」なんかはまるで当てにならず、「難易度は低めだけど会社としての価値は最高(信越化学やSUMCOなど)」な会社はいくらでもあります。
(⇒この2社が関わる半導体業界については、⇒こちら(【初心者必見】半導体業界をざっくり解説していくよ①)の記事を読んでみると良いと思います。
特に就活生!!半導体業界は今後絶対に知っておくべき業界です。)
従って、就活生はネットの情報を鵜呑みにしない方が良いでしょう。
個人的に注目している大手企業
これもまた主観になってしまいますし、私があまり知らないですが優良企業も他に沢山あると思います。
ですので、参考として考えて下さい。
- 三菱ケミカルホールディングス・・・MMAトップの三菱ケミカルが主力会社で、豊富な資金力をもとに外資系の有力企業も次々に買収中。不採算事業はかなり切っているので今後の舵取りでは世界7位からの大躍進もあり得る。
- 東レ・・・言わずもがな炭素繊維の世界最大手。環境問題は世界のメガトレンドで、軽量化が実現できる炭素繊維は今後の期待分野。
- 帝人・・・同上。炭素繊維2位。
- 住友化学・・・石油系はサウジアラビアに進出してリスキーだが、農薬部門は好調。農業は食料不足という世界のメガトレンドで必ず話題に出てくるため、今後世界シェアを伸ばせるかがポイント。
- 旭化成:様々なジャンルでどれもハイレベルの位置にいる化学の優等生企業。住友化学と並んで、リチウムイオン電池のセパレーターで高いシェアを持っている。
- 信越化学・・・半導体は今後も沸騰。ウエハーの世界首位で、今後も日本の化学メーカーの隠れナンバーワン企業の地位は揺るがない。信越化学に続き2番手のSUMCOも注目。IoTや自動運転などに半導体は必須。
- 富士フイルムホールディングス・・・医療系で圧倒的。研究開発力で言えば化学メーカー屈指。
まあ、定番どころを並べただけとも言えます。
旭化成や積水化学、三井化学や昭和電工などの大企業もありますが、私はとある理由から注目企業の中に入れませんでした。
その理由はまた別の記事で書いていこうと思います。
業界全体がホワイト?
人によって何がホワイトなのかで答えは変わってきますが、「他の業界よりもまったり」なのは間違いないと思います。
少数精鋭であるため、1つの商品に対して営業マンが全国で3~5人なんてこともザラにあるのがこの業界。
必然的に自由度が高くなり、無理やり残業することもありません。
若手も少なく、40~50代が多いため、夜になると残業というよりも飲みに行くことの方が多いのではないでしょうか。笑
ビジネスモデルもBtoBであるため、17時~18時を過ぎると訪問しようにも相手企業が閉まっているため営業活動は出来ません。
BtoBであるため、決まった客先に定期訪問して関係を維持することがメインとなります。
最近では新しい業界に新規開拓に行くことが化学メーカーでは増えていますが、土台の基礎収益はやはり既存顧客。
景気さえよければ何もしないでも売上は上がります。笑
また、この業界は若者が少なく、製造業であるためITの導入が遅れています。
ですから、ExcelやITの知識がちょっとあるような人は、与えられた仕事を効率よく短時間で終わらせることが出来ます。
そして、営業と言ってもやはり土台は化学メーカー。
化学などの知識がおおければ多いほど商談がうまくいきやすい。
従って、勉強すればするほど仕事はうまくいきます。
40~50代には遊び歩いている意識の低い社員も多く、努力をすれば年次関係なく追い抜くことも可能。
従って、トータルで考えると業界全体が「まったり」と言えなくもないでしょう。
もちろん、業績の悪い部署に配属されたらそんなことは言ってられません。
新規開拓が難しいのがこの業界ですので、既存ルートの数字が悪い場合は非常に厳しいことになります。
それでも、個人でどうにもできない部分が多いため、やはり他の業界ほど詰められることは少ないです。
まとめると、「若手の人数が少ないため、向上心があり、自主的に物事を考え、主張する能力は必須。一方で、金融や人材の営業のように毎日が勝負といった働き方をしたくない人向き」といった感じです。
私のように、経済に興味のある方は、この業界に身を置いておいても良いかもしれません。
就活生の方は、⇒こちら(【就活戦略①】学生時代に頑張ったことがない人必見)の記事も参照してみて下さい。私の就活論が全て公開されています。
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2020年 9月 19日
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