- 2019-3-23
- グローバルマクロ
- 15 comments

今回は、めちゃくちゃ賛否両論な話をしていきます。有名人だったら炎上するかもしれませんね。
タイトルの通り、「商社不要論」です。要するに、「大体の商社っていらなくない?」って話です。
特に私が苦言を呈したいのは、「代理店」を名乗る専門商社。
これは本当に要らないと思いますし、将来的にほとんどの専門商社は消えてなくなってもおかしくありません。
私がこう考えるのには理由があります。もちろん、私自身がメーカーの営業の立場だから、こんなことを言うのかもしれません。
しかし、たとえ私が働いていなくても、今の知識を持っていれば「商社は不要」という結論を下すと思います。
もちろん、総合商社や他の一部の商社は、本当の意味での価値を生み出していると思います。しかし、旧態依然の古い商社が日本には多過ぎで、これらの企業の存在が日本の発展を阻害している要因になっているような気がしてなりません。
今回は、私がなぜ「商社は要らない」と考えるのか書いていきます。
目次
代理店と商社
一応、この記事で使用する言葉の意味を定義します。
代理店=メーカーの販売代行。
商社=自分が携わって問題を解決することで、「差益」を貰う会社。メーカーの販売代行だけではない。
そもそも商社の機能って?
私は毎年、新卒の会社説明会に借り出されて、大勢の前で仕事の説明をすることがあります。
その際にも就活生からは、「商社ってなんでいるんですか?商社の役割って何ですか?」といった類の質問を毎年のように受けます。
本当であれば、「商社なんてろくに何もしないただのピンハネ業者ばっかりだよ。」と答えたいところなんですが、流石に大勢の前なので、商社を擁護するような教科書通りの回答をしています。
まあ実際、役割というのはあります。あるからメーカーは商社を経由して、色々な客先に販売しているのです。
(但し、その役割をきちんと果たしている商社というのは数少ないのが現状です。笑)
与信保険機能
メーカーの営業マンは少数精鋭のため、与信管理の手間は出来るだけ省きたいのが実情です。
与信管理とは、「ちゃんとお金を払ってくれるかチェックする業務」のことです。
未払いで夜逃げされないように、あらかじめ売る前に「担保(現金や土地などの資産)」を預かって販売しているのです。
BtoBの場合は、一般の消費者のように「現金即決」で販売はしません。基本的には、売り手は「受取手形」というものを貰います。
「受取手形」はその場では現金化出来ず、1か月後や2か月後など時間が経過しないと現金化されないのです。
従って、買い手は基本的に「借金して買っている」のと何ら変わりません。
ですから、売り手は「お客様は神様ではない。借金するなら担保を出してね」ということで、担保を取るのです。
BtoBのビジネスでは、新しく取引する際はそのような取り決めの契約をかわします。結構面倒くさいです。
現金預かったり、土地や建物を預かるって面倒くさい仕事ですよ。これをメーカーの営業マンがやるって、なんか違うと思いません?笑
だから、メーカーは代理店に販売し、代理店が広く中小・零細企業・一般消費者に販売するというビジネスモデルが現在の主流です。キーエンスのように、全て直販の体制にするには「売るための組織づくり」が余程うまくないとなかなか出来ないんですね。
今多いのは、「メーカー」⇒「代理店(商社1)」⇒「沢山の小売り業者(商社2)」⇒「沢山のエンドユーザー」と言ったフローです。商社2は消えつつあります。
まあメーカーは、代理店の与信管理だけすれば良いというワケですね。
販売代行機能
これは文字通り、メーカーに代わって、商社に販売してもらうということですね。
先ほども述べましたが、メーカーの営業というのは、基本的には少数精鋭です。ですから、メーカーの営業が追いかけるのは、そこそこ金額が大きい物件などです。
しかし、細かく売っていくことも商売では大事なんです。
地方や海外など、メーカーの営業マンが気軽に行けないような地域では、その近くに営業所を構えている商社に営業をお願いした方が効率的です。
メーカーは、商社マンが販売しやすいように武器を用意してあげれば、あとは自分たちの分身となって広く自社製品を売って貰える、というワケです。
金融機能
商社の武器は、顔の広さや高度な人材、豊富な資金です。
総合商社がやっているように、豊富な資金力を使って、新しいビジネスを創出することが出来ます。
企業と企業を結びつけて新しいことをやってみたり、事業投資をしたりと、資金があることによって出来ることは多いです。
商社はモノを作るわけではないので、「メーカー」「商社」「お客さん」にメリットが出るように、ビジネスを構築していくことが仕事の1つです。
物流機能と購買代行機能
もうこれはまとめて書きますね。
要するに、
- 「日頃から色んな商品を扱っていて配送しているから、ついでにおたくの商品も運びますよ」
- 「大量に在庫するから仕入れ価格めちゃくちゃ安くしてよ。その代わりにうちが全部配送するからメーカーさんはうちへの配達便さえ手配出来ればOK」
- 「輸出入の手続きって大変だから、うちが輸出するよ」
- 「おたく色んな原料を色んなところから買っていて、混乱しちゃいません?うちからなら何でも買えますよ?」
こんな感じですね。
こう見ると、商社は商社で良い部分は沢山あります。
商社マンのレベルはそんなに高くない
ハイスペックの集団である総合商社などが目立つので勘違いされがちですが、日本にはびっくりするほどの「商社(販売業者)」が存在します。
そのどれもが、いわゆる専門商社と呼ばれる部類です。
基本やっていることは、「特定のお客さんの御用聞き」になります。
「おい、お前のとこ焼きそばパン売ってないの?」
「今は売ってないですが、知り合いのツテで仕入れて来るから私から買ってくださいねアニキ!」(100円で仕入れて200円で売る)
「サンキュー!ちょっと高い気がするけど、これから毎週月曜日、お前から焼きそばパン買うわ」
いや、本当にこんな感じなんですよ。
基本、特定のユーザーに張り付いているので、そのユーザーに対しては絶対に逆らうことは出来ません。
「メーカー」と「ユーザー」と三方良しの精神でビジネスをするのが筋ってものですが、基本的にはお客さん>>>メーカーですので、何かあると全てメーカーに丸投げするのが実態です。
「おい、この焼きそばパン、虫入ってねーか?」
「確かに入ってますね。メーカー呼んできますわ!俺のアニキの焼きそばパンに虫入れやがってメーカーくそっすね!」
(いや、仕入れて売ったお前も謝れよ・・・)
また、色んな商品の見積もりを作って、時には配達もしているので、細かい仕事がとても多いのです。
また、メーカーが助けてくれるので、商社マンはあまり勉強をしません。はっきり言って、知識のレベルもアイデア力も低いです。
「おい、お前の仕入れてきたこの焼きそばパンはどこで作ってるんだ?」
「ちょっと待っててください。今メーカーに聞きますから!!!!」
とまあ、こんな感じが実態なんですよ。多分これを読んだ専門商社マンは、深く共感するか、怒り狂うことでしょう。
もちろん、すべての人がこのような働き方をしているワケでもありません。
誇りをもって、商社マンとして、価値のある仕事をしている人は間違いなく存在します。
商権を主張する商社たち
商社は、メーカーがユーザーと直接商売することを恐れています。
ですから、何としてでも自分が関わることで、直販されるのをけん制します。
「メーカーが勝手にうちのお客さん(ユーザー)に行かないでください」と商権を主張する会社も沢山あるのです。
一方、お客さんであるユーザーに対しては、「お友達感覚」を作ることで、義理人情に訴えます。海外拠点に同行して仕事+遊びの時間を共にしたり。
まあ人と人との繋がりは確かに大事なんですけどね。
専門商社はなくなる方向性
こんな感じで、商社マンのレベルはそんなに高くないのが実態です。
扱う商品が多過ぎるので、本当に表面的なことしか覚えられないのです。
これは専門商社でも同じです。「専門」なんですけど、その知識の深さは、「専門家」を名乗るにはやっぱり浅いと思います。
出来ることと言えば、ゴリゴリ営業すること。
しかし、BtoBが証券や保険の営業のようにゴリゴリ営業を掛ける相手は限られていますから、下手にターゲットリストを荒らしてはいけません。
しかも、これからの時代は「AI」が登場します。
AIの得意科目は、「専門分野」。
これ、専門商社の立場が無くなるとは思いません?
先に挙げた商社の機能ですが、これもネットの時代、「いや、〇〇で良いよね?」ということが数多く存在します。
- 与信機能・・・「与信保険」を扱っている与信保険会社が競合
- 金融機能・・・これからの時代、銀行が業態変化しなければ潰れる時代になります。そうなると、銀行は資金力を生かして「何でも屋=総合商社化」する可能性が高い
- 販売代行機能・・・AIで何でも調べられるし、知識ないのに販売代行してる今が異常なだけ
- 物流機能・・・これは物流会社のフィールドなので、商社じゃ勝てない
- 購買代行機能・・・商社のマージンが邪魔なので、安く仕入れるために商社を外してメーカーと直販する会社が増えている
まあ、完全に逆風ですね。
総合商社のように、規模の大きい世界で、会社と会社を結びつけるような総合投資事業をやっていれば別ですが、
単に「メーカー」⇒「商社」⇒「ユーザー」という流れは要らなくなってくると思います。
半導体専門商社が特にピンチ
半導体関連の商品を卸す商社が存在しますが、これは非常にピンチだと思います。
半導体こそ専門性が問われる業界ですので、これはもうAIの超得意分野になってくる可能性が高いと思います。
まだ数年は大丈夫だと思いますが、いずれはリストラや統合合併、ビジネスモデルの転換などが迫られる可能性が高いと思っています。
AIが普及しだしたら、日本の会社は結構ピンチなところが多いでしょう。
まとめ
読み返してみると、私の「メーカーとしての視点」が結構含まれていますね。笑
ただ、私の結論としては、「ほとんどの商社は不要」ということになります。
やっぱりメーカーが海外進出する際、語学が堪能でその土地の商売事情が分かる商社マンって頼れる存在だと思いますから、全部が全部要らないとは思いません。
ホリエモンが「99%の会社はいらない」という本を出していましたが、この話の究極がアレなのかもしれません。
商社マンの方は気分を悪くしたらスミマセン。
ただ、この記事を読んでいるということは、商社の先行きを不安視して、ネットサーフィンをしていたってことでしょう?
インターネットが発達して、Amazonのように顧客と直接、大規模に製品を販売できる会社もどんどん増えていますよね。
専門商社、今後どうなるんでしょうね?
将来が不安なら転職、副業も選択肢に入ってくると思います。
私のブログでは、副業×トレードであれば、色々な記事を書いていますので、
興味があれば読み漁ってみてください。
以上、最後まで読んで下さってありがとうございました。