
2018年1月から始まった「つみたてNISA」。対象ファンドは増え続け、現在は183本にまで拡大しています。うち米国株価指数に連動するものは11本あります。
運用成績と手数料の両方をチェック!
NISAは国が「長期・積立・分散」を支援するために設けた非課税制度ですが、長期を前提にしている以上、投資家にとって「手数料」は大敵で0.1%の差もバカにはできません。
信託報酬以外にも、「隠れコスト」と呼ばれる手数料もあり見逃せません。この点については、詳しくは過去記事をぜひご覧ください。

運用成績だけでなく、実質コストに着目してつみたてNISAの対象ファンドを深堀していきたいと思います。手数料にこだわりたい方は必見です!
つみたてNISA対象の米国株式インデックス
2つの株価指数と対象ファンド
つみたてNISAの対象となっている米国株式インデックス(指数)は2種類です。
1つ目はS&P500。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出する時価総額加重平均型の株式指数です。米国の主要約500社で構成されます。
2つ目はCRSP U.S. Total Market Index。シカゴ大学証券価格調査センターで開発されたインデックスの一つで、全米の投資可能銘柄のほぼ100%となる約4000銘柄で構成された時価総額加重平均型の株式指数です。
【S&P500】(公式サイトにリンク)
- 米国を代表する企業500社の株式にまとめて投資(厳選企業)
- 対象ファンドは9本
【CRSP U.S. Total Market Index】
- 米国を代表する企業4000社の株式にまとめて投資(全米投資)
- 対象ファンドは2本
S&P500に連動する対象ファンド
S&P500の指数に連動するつみたてNISA対象の投資信託は以下の9本です。下の表は、最新の運用報告書に書かれてある「実質コスト」の低い順に並べています。
実質コストを見ると、SBI・V・S&P500インデックス・ファンドが首位。eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)、SMBC・DCインデックスファンド(S&P500)がいい勝負ですね。
ご覧の通り、信託報酬は0.09%台〜0.2%台で、低コストに抑えられている印象です。しかし、「隠れコスト」を含めた実質コストで比較すると手数料は9倍の差がありました。
証券会社のホームページには、信託報酬等の運用管理費用がピックアップされ、実質コストは運用報告書を確認しなければなりません。ファンド選びの落とし穴になっているので、実質コストには最新の注意が必要だと思います。
一番人気はeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)です。純資産総額が2022年2月、インデックス・ファンドとして初めて1兆円を超えるほどの人気ぶりです。実質コストでは後発のSBI・V・S&P500インデックス・ファンドに敗れていますが、運用成績ではわずかながら勝っていることがわかります。
この理由は、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)では一部を先物取引を行っており、ベンチマークを少しでも上回ろうとする企業努力の表れなのだろうと考えられます。
実質コストが一番安いSBI・V・S&P500インデックス・ファンドは、根強い人気があるバンガード社のETF(VOO)に投資する形をとっています。他のファンドは直接米国株を買い付けているので、運用方法に大きな相違点があるのがポイントです。
そのため、信託報酬(目論見書ベース)は年0.0638%(税込み)ですが、VTIの経費率0.03%程度も手数料に加わっています。
実質コストにこだわるならSBI、ベンチマークを少しでも上回る運用成績を求めるならeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)という選択が無難ですね。
CRSP U.S. Total Market Indexに連動する対象ファンド
CRSP U.S. Total Market Indexに連動するつみたてNISA対象の投資信託は以下の2本です。ほぼ全ての米国株に分散投資できる「全米株式インデックス・ファンド」です。
いすれのファンドも米国株を直接買い付けるのではなく、バンガード社のETF(VTI)に投資をする形で、手数料は安価に抑えられています。
SBIは運用期間が短く運用報告書が出されていないため、実質コストは未確定です。後発で低コストを重視しているため、楽天よりコストを抑えてくるでしょう。期待大ですね。
直帰のパフォーマンスを比べても大きな差はありません。そのため、どちらに投資するかの判断は「実質コスト」が重要なポイントになりますね。
まとめ――実質コストには要注意
いずれの指数も高い人気があり、指数ごとに見れば各ファンドで運用成績に大きな差は見られません。ただ実質コストで見た場合、その差は最大約9倍と大きな開きがあります。
パフォーマンスや信託報酬の安さだけでなく、実質コストに着目してファンドを選ぶことの重要性がとても良くわかる結果となったと思います。
私は楽天経済圏でポイント投資やクレカ決済を活用していますが、S&P指数に連動するeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)や、低コストで攻め続けるSBI・Vシリーズは長期投資を続けるならとても魅力的だと感じます。
つみたてNISAの対象ファンドは、国の非課税制度が適用されるため、金融庁が定めた様々な要件を満たす優秀なファンドであることは間違いありません。
しかし、(過去の私のように…)なんとなくファンドを選ぶのではなく、パフォーマンスや実質コストに着目して、後悔のない選択をしてほしいと思います。